ぜんぶ欲しくてたまらない。
遊園地の中へ入ると楽しげな音楽やはしゃぎ回る子どもたちの声、ジェットコースターに乗って叫ぶ人の声、いろんな音で溢れていた。
「コウくん、コウくん!どれから乗る?」
そんな楽しそうな雰囲気にのまれて、すっかり子どもに戻った気分になっているわたし。
わたしがコウくんの前に回って顔を覗き込むように問いかけると、一瞬時が止まったかのように固まるコウくん。
「ん?どうしたの?」
「っ、別に……芽依のご褒美で来たんだし好きなの乗れば?」
「本当に?いいの?」
コクンと静かにコウくんが頷いたのを確認して、心の中でガッツポーズをする。
そうと決まれば、まず乗りたいのは────
「は?……まじでこれ乗んの?」
「もちろん!」
やっぱり遊園地と言えば定番のジェットコースターでしょ!
乗っている人たちの声も聞こえてたから、ずっと乗りたくてうずうずしてたんだ。
怖いって気持ちもあるんだけど、そんなスリルも楽しくて絶叫系の乗り物は結構好き。