ぜんぶ欲しくてたまらない。



「芽依ひとりで乗ってきなよ」



乗り物に乗るための列に並んでからそんなことを言い始めたコウくん。



「ダメだよ。好きなの乗っていいって言ったじゃん」


「芽依が好きなの乗ればとは言ったけど、一緒に乗るとは言ってない」


「そんなこと言ってももう逃げられないんだからね!」



言い合っているうちにわたしたちの順番が回ってきて、座席へと案内される。



「あとから泣いても知らないからね」


「何?何か言った?」



ジェットコースターが発車して最初の坂を登っている途中で何かコウくんが呟いていた気がするけど、小さな声は風に流されて聞こえない。


ゆっくりと頂上まで登ったあとは、一気に急降下。


この風が気持ちいいんだよね。


なんだろう、空を飛ぶ感じ?




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