ぜんぶ欲しくてたまらない。



「はい、お茶飲める?」



近くのベンチに座って、すぐ目の前の自動販売機で買ってきたお茶をコウくんに手渡す。


お茶を飲んでしばらくすると顔色も元に戻ってきて、体調もだいぶ良くなったようだった。



「ごめんね、コウくん」


「別に、いいよ。その代わり芽依に仕返ししてあげる」



うっすらと笑いながらそう言うコウくんはなんだか怖い。


何かよからぬ事を考えているかのような。



「芽依、次行くよ」


「もういいの?」


「へーき」



元気になったのは良かったんだけど……


わたしを置いてスタスタと先へ行ってしまうコウくん。


よっぽど乗りたい乗り物があったのかな?


確かにわたしへのテストを頑張ったご褒美ではあるけれど、せっかく一緒に遊びに来たんだからコウくんにも楽しんで欲しい。


ワガママ言ってジェットコースターにも乗せてもらったし、コウくんにも付き合ってあげよう。


そんな心に決めた思いも、すぐに折れそうになる。




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