ぜんぶ欲しくてたまらない。



「ね、ねぇコウくん?」


「なーに?」


「ここ、入るの?」


「もちろん」



コウくんが真っ直ぐやってきたのは、わたしの大大大っ嫌いなお化け屋敷。


ここの遊園地のお化け屋敷はかなり怖いって有名で、人気でもあるけれどわたしみたいな怖がりな人にとっては恐れられているスポット。


かなり優しい子ども向けのお化け屋敷に小さい頃入ったことがあるけれど、その時感じた恐怖から今でもトラウマで入ることができないでいた。


それなのに……



「無理だよ!!ぜーったい無理っ!!」


「なんで?お化けなんていないし、みんな機械の仕掛けか人間じゃん」



そんなのわかってるけど!


頭ではわかっていたって怖いものは怖いんだよ。


進路はこっちだよーなんて優しく教えてくれるお化けならいいけど、全力で怖がらせてくるんだもん。


まだ中に入ってもいないのに、目の前にいるだけで足がすくんでしまう。




< 130 / 261 >

この作品をシェア

pagetop