ぜんぶ欲しくてたまらない。



ゆっくりと動くゴンドラに乗り込み、向かい合わせに座る。


ここの遊園地の観覧車は他と比べて大きめで一周する時間が長い。



「わぁー、綺麗っ!」



少し上がっていくとだんだん見えてくる夜景。


たくさんの光で輝く遊園地内の景色はもちろん。


遊園地を囲うように生えている木々の向こう側には街が広がっていて、まるで光の絨毯のようですぐに目を奪われた。



「芽依好きだよね、こういうキラキラしたもの」


「うん、だって綺麗じゃん」


「まーね」



本当にそう思っているのかわからない言い方だけど、ゴンドラに乗ってからずっと外を見ているコウくんにとってそれは本心なんだろう。


話していても全然こっちを見てくれないコウくん。


そんなに外の景色に見とれているんだろうか。



「どーしたの?」


「へっ……なんでもない!」



気づけば夜景ではなくコウくんの横顔に見とれてしまっていたわたし。


それに気づかれないよう咄嗟に外へ顔を向ける。





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