ぜんぶ欲しくてたまらない。



「芽依ちゃん、ちょっとお話聞いてくれる?」


「……うん?」



急に真剣な顔をする奥田くん。


なんとなく緊張が伝わってきて、ゴクリと唾を飲み込む。



「今日ね、芽依ちゃんと水族館に来れて本当に俺、楽しかったよ」


「うん、わたしも」



奥田くんと一緒に来た水族館。


本当に楽しかった。



「うん、芽依ちゃんも楽しんでくれてたから嬉しかったよ」



奥田くんはわたしに優しく微笑む。


そして一度視線を落とし、スーッと深呼吸をしてからまたわたしを真っ直ぐに見つめてくる。



「もう気づいてるかもしれないけど……」



胸がドキドキとうるさい。



「俺、芽依ちゃんのことが好きなんだ」



……奥田くんから告白されてしまった。



「えっと、あのっ……」



告白されたことなんてこれが初めてで、どうしたらいいのかわからない。


素直な今の気持ちは───嬉しい。


そう思う。



「答えは今じゃなくていい。これからゆっくり俺のことをもっと知っていってもらえたら」


「奥田くん……」




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