ぜんぶ欲しくてたまらない。
「芽依ちゃん!浴衣姿可愛すぎるよーっ」
「そんな、咲良ちゃんは自分の可愛さに早く気がついた方がいい!」
「それはわたしのセリフだよ?」
もう、と軽く口をふくらませた咲良ちゃんはやっぱり可愛すぎて、わたしが守ってあげなくちゃと母性本能が働いた。
「じゃあ行こっか」
無事に待ち合わせもできたことだし、そろそろお祭り会場へ向かおう。
そう思い咲良ちゃんに声をかけたけれど、一歩歩き始めたわたしは止められた。
「待って!まだみんな集まってないから!」
「……?」
お祭りってわたしと咲良ちゃんの2人で行くんじゃないの?
確か咲良ちゃんからのメッセージには一緒いかないかと書いてあったはず。
てっきりわたしは2人きりだと……
どういうことかと聞こうとした時、咲良ちゃんはわたしの後ろを見て手を振っていた。
振り向いてみると、私服姿の須藤くんの姿が見えた。
「咲良ちゃん、芽依ちゃん、お待たせ!」
満面の笑みでわたしたちの近くまでやってくる須藤くん。
───そしてその隣にコウくんがいた。