ぜんぶ欲しくてたまらない。



「ねぇ、もしかして咲良ちゃん……」



コウくんに聞こえてしまわないように咲良ちゃんに小声で耳打ちをする。



「芽依ちゃん勝手なことしてごめんね。せっかくの夏祭りだったから……」



申し訳なさそうにする咲良ちゃん。


でも、奥田くんに言われたことも含めて咲良ちゃんに相談をしていたから、それを聞いて考えてくれたんだと思う。


きっと須藤くんも協力してくれて、コウくんをここまで連れて来てくれた。



2人には言っていなかったけれど、本当の本当はコウくんと一緒にお祭りに来たかった。


一緒に花火を見たかった。



わたしはフルフルと首を横に振って、咲良ちゃんにありがとうと伝えた。


咲良ちゃんは安心したのか、ホッとした笑顔を浮かべていた。


本当に咲良ちゃんには感謝してるよ、ありがとう。



「じゃー行こっか」



そう言ったのは須藤くん。


隣にいるコウくんはずっと真顔で、こちらを見ようとしない。


まるで視線が合わないように避けているみたいに。




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