ぜんぶ欲しくてたまらない。
「さすが倉敷くん!芽依ちゃんのことよく知ってるねーっ」
思わず口元が緩んでしまったわたしを見て、すかさず咲良ちゃんが盛り上げる。
コウくんはそれに対しての返事はなかったものの、当たり前とでも言いたそうな表情を浮かべていた。
わたしが変に意識してしまっていただけで、コウくんは思ったよりいつも通りなのかもしれない。
……もう少し。
もう少しだけ打ち解けられたら。
夜空を彩る花火が始まる前に、コウくんへちゃんと想いを伝えたい。
きっと今日、今この時が一歩を踏み出す時だと思うから。
わたしの直感がそう言っている。
「咲良ちゃんは食べたいもの決まった?」
「うん、かき氷にしよっかなと思って」
「本当?俺も食べたいなって思ってたとこ!」
咲良ちゃんと須藤くんは意気投合したらしく、グータッチをしている。
「2人で一緒に買いに行ってきなよ!」
「え、いいの?」
「うん、大丈夫!気にしないで行ってきて?」
残されてしまうわたしたちのことを心配しながらも、咲良ちゃんが嬉しそうな表情をしたことをわたしは見逃さなかった。
何も言われないからわたしの想像でしかないけれど、きっと咲良ちゃんと須藤くんは両思いなんじゃないかな?
傍から見てもお似合いの2人。
せっかくお祭りに来てるんだから、もっと仲良くなって欲しい。
そんなわたしのお節介。