ぜんぶ欲しくてたまらない。



わたしももうお腹がペコペコ。


ソースの匂いがとても美味しそうな目の前のたこ焼きに、じゅるりと溢れ出そうなよだれを飲み込んで、付属の竹串をたこ焼きに刺して口へと運ぶ。



「っ、あふっ!」



早く食べたいという気持ちが増して、熱々であることをすっかり忘れ、たこ焼きをそのまま口に放り込んでしまったわたし。


口の中が痺れそうなくらい熱い!


熱さを我慢しながら手のひらをグーパーグーパーと動かし、口はハフハフと熱を逃がそうと必死になる。



「……バカ芽依」



コウくんはそんなわたしに呆れつつ、隣のたこ焼きを竹串に刺して口に入れた。



「ふぁんれ?」



まだ熱さで噛めないわたしは上手く言葉を喋られない。


なんでコウくんは熱々のたこ焼きを口に入れても平気なの?



「ちゃんと先に割って冷ましたからね」



そういうことか。


さすがコウくん、頭いい。


淡々とした表情で2つ目のたこ焼きを食べるコウくんに感心する。


やっと口の中のたこ焼きを飲み込めたわたしは、次のたこ焼きに切れ目を入れてしっかりと冷ましてから口に運んだ。



うん、美味しい。



焼きそばとたこ焼きの入っていた皿が綺麗になる頃には、わたしたちのお腹はいっぱいになっていた。




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