ぜんぶ欲しくてたまらない。



良かった、いつも通りだ。


学校で久しぶりに話した時、コウくんと距離を感じたけど……中1の時と変わらない。


コウくんは面倒くさがりやで、やりたくないことはやらない。


いわゆる、無気力ってやつ。


そして、小さい頃はすっごく優しかったのに、大きくなるにつれて意地悪を言うようになった。


でもそんなコウくんも大好きだった。


こんなやり取りをするのが毎日楽しかった。


久しぶりにその感覚が戻ってきて浮かれてしまう。


口元が緩んでニヤニヤしてしまうのも今日ばかりは許して欲しい。



「って、待ち伏せしてるって誰を待ってるの?」


「母さん。俺の入学式だから仕事休んでたし家にいると思って鍵持っていき忘れたんだよ」



だから家に入れないんだと気だるそうに話す。


家って、鍵って……



「コウくんまたお隣さんなの!?」


「うるさいなぁ、近所迷惑。俺が隣に住んだら悪いの?」


「ううん!むしろ大歓迎!!」



こんな奇跡ってある?


コウくんがこの街に戻ってきただけじゃなくて、またお隣さんなんだって!


これは私史上一番のビックニュースだよ!




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