ぜんぶ欲しくてたまらない。



「俺のこと、軽蔑した?」



やっとこっちを見たコウくんは悲しそうに笑っていた。



「……なんで、」



なんで笑ってるの。


きっと、ううん絶対。


コウくんは今までずっと辛かっただろうに。



「本当は芽依に話すつもりはなかったんだよ。こんなに汚れた俺は、芽依に近づく資格はないと思ってた」



コウくんがそう思っていたなんて。


わたしは知らなかった。


ずっと一人で抱えてきたんだね。



「コウくんは汚れてなんかないよ。わたしはコウくんにまた会えて嬉しかった」



またコウくんは驚いた顔をした。


どんなコウくんでも、わたしはコウくんが好き。



「コウくんにどんな過去があっても、わたしは今目の前にいるコウくんのことが──好きなの」



言ってしまった。


とうとう自分の気持ちを。


伝えるなら今しかないと思った。


今言わないと、伝えられなくなる気がしたから。



「……本当に、言ってるの?」



なんて言われるのか怖くて俯いいた顔を恐る恐る上げる。


コウくんはさっき以上に目を見開いてわたしを見ていた。





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