ぜんぶ欲しくてたまらない。



「ほら、おいで芽依」



ベッドに座り手を広げるコウくん。


今すぐその胸に飛び込みたい。


でもそんなことしたら口から心臓がとび出そう。


そんな心の葛藤があり、やっぱりここから動けない。



「そんな調子でどうするの?」



た、確かに。


付き合う前よりもコウくんとの関わり方がわからなくなってしまってる。



「……きゃっ!」


「はい、捕まえた」


「あんまり騒ぐとお母さんに聞こえちゃうよ?」



コウくんは意地悪だ。


突然腕を引かれて抱きしめられたら、驚いて声だって出てしまう。


静かにしてろって方が無理な話。


それに胸のドキドキだっておさまらない。


こんなにコウくんとくっついてたら音が聞こえちゃうよ……



「ねぇ、芽依」


「な、なに?」



コウくんは不意にとんでもないことを言い始めるから、身構えてしまう自分がいる。



「あの宿題、ひとりでどうするつもりだったの?」



コウくんの視線の先には、さっきもつっこまれた宿題の山。


予想外の言葉にわたしは拍子抜けした。




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