ぜんぶ欲しくてたまらない。
「芽依ちゃんお久しぶりね!もうこんなに美人さんになっちゃって!彼氏でもできちゃった?」
「…なっ、そんなことないですよ!彼氏なんて全然……!」
今まで一度もできたことはない。
告白は……1回くらいされたけど、コウくん一筋のわたしはもちろん断った。
咲良ちゃんにはお試しで付き合ってみればいいのになんて言われたけど、わたしにはできなかった。
「またまたぁー!ねぇ、航大もこんな美人さんな芽依ちゃんなんだから居そうよね?」
「……さぁ」
……?
何となく、コウくんから不機嫌オーラが漂っているような。
ただ、返事が面倒くさいだけかもしれないけど。
「そんなことより、鍵貸してくれない?家入れないんだけど」
「えぇー、わたしまだお話していきたいのよー。あっ、そうだ航大も久しぶりに芽依ちゃんとお話してなさいよ!2年間離れてた分たくさんお話もあるでしょ?」
ねぇ、芽依ちゃん、なんてコウくんのお母さんに話を振られて、わたしは全力で首を縦に振った。
コウくんと話したいことなんて数え切れないほどたくさんある。
そんなわたしの反応を見て、コウくんのお母さんは「ほらね」なんて更に不機嫌になったコウくんに微笑みかけていた。