ぜんぶ欲しくてたまらない。



わたしのお母さんからも「ゆっくりしていって」と勧められて、半強制的に残ることになったコウくん。


わたしの部屋に入ってからも、その不機嫌さはなかなか治らない。



「はい、コウくん。オレンジジュースでよかった?」



今家に飲み物と言ったらこれしかなくて、グラスに注いでテーブルに置く。



「別になんでも」



コウくんはベッドの側面に寄りかかりながら座っている。


わたしの部屋にコウくんがいる。


それも2年ぶり。



「ベッドの上で寝そべってもいいんだよ?」



わたしのベッドは半分コウくんのもの。


……っていうくらい、コウくんが毎日のように遊びに来ていた時はそうしていた。



「いいよ、床で」


「おしり痛いでしょ?」


「クッションあるし大丈夫」



やっぱりなんか素っ気ないなぁ、コウくん。



久しぶりだから?


コウくんもわたしみたいに緊張してる?



わたしが言えることじゃないけど、別に緊張する必要なんてないのに。


だって、わたしたち仲良しな幼なじみなんだから。



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