ぜんぶ欲しくてたまらない。



「あっ、ねぇコウくん、連絡先教えてよ!」



ずっと聞きたかったんだ。


本当は明日学校に行ってからリベンジしようと思ってたんだけど、今が大チャンスじゃない?



「あーはい。勝手に登録しておいて」



そしてスっと差し出されたコウくんのスマホ。


須藤くんとはやり取りしてたのに、今はそれさえも面倒くさいみたい。


わたしの前では、格段とコウくんはワガママになる。


コウくんから受け取ったスマホはなんの柄もない真っ黒のスマホケースがついていて、実にコウくんらしい。



「えっとパスワードは……」



パスワードを解いてくれないとわたしは操作ができない。


そんな簡単なことに電源を入れてから気がつく。



「0214」


「えっと、0214……開いた!……んえ?」



あぶない、流してしまうところだった。


よく聞き覚えのあるこの数字。



2月14日。



世間一般的に"バレンタインデー"と呼ばれるこの日はわたしの誕生日。


もしかして、もしかしてだけど……



「別に深い意味ないから」



コウくんはエスパーだろうか?


まだわたし、何も聞いてないのに。



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