ぜんぶ欲しくてたまらない。



もうバレてしまっているのにバレたくなくて、意味のない嘘をつく。



「一緒に寝るなんていつもしてたじゃん」



それは中1までの話だよ。


もうわたしたちは高校生。


コウくんのことが好きだと自覚した中1の頃からずっとドキドキしてたのに。


想いが膨れ上がってしまった今、落ち着いてなんか居られない。



「あっ、あのさ!」



こうなったら、話をそらすしかない。



「なに?」


「……っ」



会話をしようと体をコウくんの方へ向けると顔が近くて、体が一気に熱を持つ。



「芽依、顔真っ赤。熱ある?」


「な、ないよっ」



気を紛らわそうとして自滅するなんてバカだなぁ、わたし。



「で、何?」


「て、転校してからはどうしてたの?」



わたしの知らないコウくんの2年間。


コウくんのことなら、なんでも知りたい。



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