ぜんぶ欲しくてたまらない。
気づいてほしい。
「昨日はごめんね……」
次の日、学校で遅刻ギリギリで登校してきたコウくんに朝一番で謝った。
結局一日中考えても理由はわからなくて、それでもコウくんには許して欲しくて。
気まずいながらも勇気を出して謝ったのに───
「別に芽依なんか悪いことした?」
「……へ?」
「あ、ホームルーム始まるよ」
「あぁっ、うん」
コウくんは昨日のことはなんもなかったかのような言いようで、なんだか拍子抜けしてしまった。
わたしの考えすぎ…だったのかな?
それならいいんだけど。
そんなことがあった日から今日で1週間。
朝から大きめのカバンやリュックサックを持って校庭に集まっているわたしたち。
今日から一泊二日。
入学式のあとのホームルームで担任の先生が話していた新入生オリエンテーションの日だ。
着替えや洗面用具などお泊まりに必要な道具の他に、学校行事と言うだけあって筆記用具や教科書、ノートなんかも持ち物に入っている。
なんでも自習の時間があるみたいで……
荷物が多く重たいのもそれのせい。
オリエンテーションの内容について話があった日には、クラスのみんなから大ブーイングを受けていたっけ。