ぜんぶ欲しくてたまらない。



オリエンテーションは郊外で行うようで、学校からは貸切バスで向かう。


バスの席は事前に決めていたグループごと。


元々同じ中学校で顔見知りということもあり、自然とわたし、咲良ちゃん、コウくん、須藤くんの4人が揃った。


バスの席は前にコウくんと須藤くん、その後ろの席にわたしと咲良ちゃんが座る。


わたしの席からは、ちょうど椅子と椅子の隙間にコウくんの横顔が見える。



コウくんの横顔を見ていられるなんて……

そんなことさえも幸せに感じてしまう。



「芽依ったら、倉敷くんのこと見すぎだよ」


「咲良ちゃん!聞こえちゃうよ……!」



コウくんにわたしの気持ちは秘密。


コウくんはわたしのことをただの幼なじみとしか思っていないから。


前に言ってたんだ。


わたしとコウくんがあまりにも仲が良いのを見て、まわりから付き合ってるんじゃないの?とよくからかわれた時期があった。



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