ぜんぶ欲しくてたまらない。



その時にコウくんは、

"芽依とはただの幼なじみだから、適当なこと言うのやめてくれる?"

とはっきり言ったんだ。



それからわたしはコウくんに対して自分の気持ちを隠すようになった。


コウくんがそう言った以上、わたしとコウくんの関係は友達以上かもしれないけど恋人にもなれない。


わたしの気持ちがバレてしまったら、今の関係すらも崩れてしまうかもしれない。


それがとても怖い。



「大丈夫だって!バスの中騒がしいし、この声の大きさじゃかき消されちゃってわかんないよ」


「それならいいんだけど……」



チラッとコウくんの方を見てみたけれど、こっちは全然していなくて、須藤くんのマシンガントークをだるそうにしながらもうんうんと聞いていた。


そんな姿を見てホッとする。



目的地までは1時間くらい。


気分的にはちょっとしたバス遠足みたいな感じ。


あらかじめ持ってきていいと許可されていたおやつを広げて会話に花を咲かせていた。



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