ぜんぶ欲しくてたまらない。



「早く施設に着いたグループからチェックを受けて休憩!12時から食堂で昼食だからなー!頑張れよ!」



先生の言葉を合図にグループに別れ、ぞろぞろと歩き始める。



「せっかくバス借りてるんだから施設まで乗せてくれたらいいのにな」


「確かにそうだよねぇ」



須藤くんの意見に咲良ちゃんに続いて頭を縦に振り、共感する。


いつの間にか須藤くんと咲良ちゃんは仲良くなっているみたいで何やら楽しげに話しながら歩いていた。


その後ろを歩くわたしとコウくん。


コウくんは運動神経が悪いわけでは無いけれど、動くこと自体が面倒くさいのか、今日も面倒くさそうな表情を浮かべている。



「1時間って長いね」



このまま無言で歩き続けるのは気まずいし、なんだか悲しい。


せっかくコウくんと一緒に居られるのに。


そう思って話しかけたけれど、久しぶりのコウくんとの会話は何を話したらいいかわからなくて、特に意味の無い言葉を投げかけてしまった。



「んー」



コウくんもあまり興味がないというふうに意味のない言葉を返してきた。



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