ぜんぶ欲しくてたまらない。



頑張ってはいたけれど、やっぱり痛いものは痛くて、うまく歩けずみんなから遅れをとってしまう。


ずっと2、3歩前を歩いていたコウくんとの距離も4歩、5歩……と少しずつ開いてしまっていた。


駆け寄って間の距離を詰めたいけれど、それはこの足じゃ難しそう。



「どうした芽依」


「コウくん…」



痛くて歪んでしまう顔を隠すように俯いていたわたしを覗き込んでくるコウくん。


前を歩いていたのに戻ってきてくれたの?



「……大丈夫だよ!ごめん、ちょっと疲れちゃって……運動不足かな?」



特にコウくんには心配をかけたくなくて嘘をつく。


あと少し、もうちょっと。


大丈夫、わたしは頑張れる。



「俺に嘘が通じるとでも思ってる?そこ座って」



"そこ"とコウくんが指さしたのは小道にあった小さな岩。


大人しく言うことを聞いて座ると、コウくんはリュックをおろしてわたしの靴を脱がせた。



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