ぜんぶ欲しくてたまらない。
コウくんがわたしのために選んでくれたもの。
だから、ずっと大切にしてきた。
「ちょっと探しに行ってくる!」
「あっ、ちょっと芽依っ!」
止める咲良ちゃんを振り払って部屋を出る。
まず考えられるのは、さっきまで自習をしていた部屋。
確か方向音痴のわたしでもわかりやすい階段をおりてすぐの部屋だったはず。
もう誰もいない電気の消えた部屋に飛び込んだ。
どこ?
わたしの大事なキーホルダー。
入口から自分の座っていた机のまわりまで何度も何度も確認した。
「……ない」
それなのにどこにもない。
ここにないとしたら?
「もしかして、外?」
泊まる部屋にもなかった。
自習をしていた部屋にもなかった。
それならここに来るまでに落としてしまった可能性もある。
ありがたいことに入口はすぐ目の前。
まだ日も完全には落ちてない。
迷わずわたしは薄暗い外へと飛び出した。