ぜんぶ欲しくてたまらない。
そして、やっと気がつく。
いつの間にか上には綺麗な星空が広がっていて、辺りは何も見えないくらい真っ暗だった。
何かよからぬものが出てきそうなくらい不気味な森の道。
早く戻らなきゃ……
ずっと真っ直ぐ来たんだからこのまま戻れば大丈夫。
震える手を抑えながら、スマホの明かりを頼りに来た道を戻る。
「……どっち?」
ここまで来る時はキーホルダーを見つけることに必死で下しか見ていなかった。
だから、こんなところに分かれ道があるなんてわからなかったんだ。
───どうしよう。
むやみに歩けばさらに迷って帰れなくなるかもしれない。
「咲良ちゃんに連絡……!」
我ながらいい案を思いついたとスマホを開くもすぐに落胆する。
「……けん、がい」
それもそうかもしれない。
こんな森の中じゃ電波が届かないのも納得がいく。
本当にどうしたらいいんだろう。