ぜんぶ欲しくてたまらない。
きっとキーホルダーを落としてしまったからバチが当たったんだ。
ごめんね、コウくん。
大切にするって言ったのに。
ちょっと汚れちゃったけど、ちゃんと見つけたよ。
だから神様……いるのならわたしを助けて。
ねぇ、コウくん。
「何してるの、芽依」
「……コウくん?」
声だけで気づくなんて、どれだけコウくんのことが好きなんだろう。
怖くなって涙がこぼれそうな顔を上げると、髪の乱れたコウくんが立っていた。
なんでコウくんはヒーローのように駆けつけてくれるんだろう。
また好きになっちゃうよ。
「ないって……それ探してたの?」
わたしの手に握られた羊のキーホルダーを見て言うコウくん。
「これ、わたしの一番大切なものだから」
「……そんな安いキーホルダーを必死に探すなんて、バカだよ芽依は」
「金額なんて関係ないもん」
コウくんがくれたってだけで、どんなものでも価値が上がるんだ。
コウくんがくれるものなら、多分ゴミでも喜ぶ自信があるよ。