ぜんぶ欲しくてたまらない。



「ほら、帰るよ。岩佐さんも芽依のこと心配してる」


「咲良ちゃんが……」


「突然芽依が出てっちゃったんだって俺たちの部屋まで来て知らせてくれたの」


「それでこんなところまで探しに来てくれたの?」


「……芽依のことだから道に迷って泣きじゃくってるんじゃないかって」


「もう子どもじゃないから泣かないもん!」


「さぁ、どうだか」



本当にコウくんの言う通り、子どもみたいだね。


不安になって泣いてたし、今も安心してまた泣きそうだもん。


強がって隠しているけど、きっとコウくんにはバレバレなんだろうな。



「……?」


「乗って」



昼間と同じく、わたしの前でしゃがみ込むコウくん。



「だ、ダメだよ!」



すぐまたわたしを子ども扱いしておんぶしようとする。



「いいから。さっきと逆の足も靴擦れしちゃったんでしょ?絆創膏もないし、その方が早く帰れる」




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