ぜんぶ欲しくてたまらない。
それもバレてたんだ。
元々靴擦れしかけていた反対側の足も、今歩いてきたことで擦りむいてしまった。
そんなことまでコウくんは気がついちゃうなんて。
「ごめんね、コウくん」
断りをいれて、そっとコウくんの背中に乗る。
温かい。
コウくんの背中から温もりが伝わってくる。
コウくんと触れているだけでドキドキする。
「ありがと、コウくん」
わざわざ探しに来てくれて嬉しかった。
「……キーホルダー、まだ持っててくれて嬉しかった」
「へっ?」
「なんでもない」
「ふふっ」
「忘れろ」
そんなこと言われたら、バカなわたしは期待しちゃうよ。
もしかしたらコウくんもわたしのことが好きなんじゃないかって。
もしそうだったら嬉しいのに。
そんな願いを込めて、ぎゅっと後ろからコウくんを抱きしめる。
足の怪我を気づいてくれたみたいに、わたしの気持ちにも気づいてくれたら……
わたしのことを意識してくれるのかな?
でも、やっぱりそれは怖い。
この気持ちはまだ自分の胸の中にしまっておこう。