ぜんぶ欲しくてたまらない。



「クラスどうかな?」


「どうだろうね、咲良ちゃんと同じクラスがいいなぁ」



電車に揺られながらそんなことを話す。


幸運なことに中学3年間は咲良ちゃんとぜんぶ同じクラスだった。


そのおかげでこんなに仲良くなれた気がする。


いつも一緒に居てくれて優しい咲良ちゃんは、わたしにとって大切な親友だ。


高校の最寄り駅が近づくにつれて、同じ制服を着ている生徒が増えてくる。



「みんな新入生かな?」


「そうかも。制服が新しいし……あ、芽依ちゃん次の駅だよ」



満員電車からぞろぞろと同じ制服の生徒が降りていく。


隣には咲良ちゃんもいるし、みんな同じ方向へ進んでいるから、方向音痴のわたしも迷わずに高校へたどり着くことができた。



「やっぱり綺麗だね!」


「ね、本当に合格できてよかった」



まだこの高校は建てられてから数年で、校舎がとても綺麗。


制服も可愛くて、そこそこいい進学校で人気なのか倍率も高かった。


制服を着て、高校の校門の前に立って、やっとこれからここに通うんだという実感が湧いてきた。




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