ぜんぶ欲しくてたまらない。
生徒玄関前にはたくさんの人が集まっている。
きっとあそこにクラスが張り出されているんだ。
「見に行こ、芽依!」
「あっ、ちょっと待ってよー」
咲良ちゃんに手を引かれて、人混みをかき分けながら前へ進んでいく。
やっと張り出された文字が見えて、咲良ちゃんと一緒に自分たちの名前を探す。
えーっと、1組には……ない。
自分の名前がないことを確認してから咲良ちゃんの名前もないことがわかってちょっと安心する。
片方だけの名前があったらショックだから。
「2組だ」
隣のクラスに目を移すと、自分の名前はすぐに見つかった。
「2組っ!」
"あ"から始まるわたしの名前は、だいたい一番最初に出てくる。
そして、"い"から始まる咲良ちゃんはいつもわたしの下に名前がある。
わたしと咲良ちゃんが声を出したのはほぼ同時だった。
「芽依ーっ、やったよ!また同じクラスだよ!」
「えへへ、嬉しいな」
今にもうさぎのように飛び跳ねそうな勢いで喜ぶ咲良ちゃんにわたしもつられて嬉しくなる。