ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
09.お隣さん side旺太
「なあ、今日の新歓、お前も来るだろ?」
休憩中、向かいのデスクから顔を覗かせた萩原に、俺は何度か瞬いた。
……そういえば、そんな予定あったっけか。
すっかり忘れてた。
「あー、どうするかな」
歯切れの悪い答えを返すと、萩原は眉根を寄せる。
「お前なあ、こないだの同期会もパスしただろ。付き合い悪すぎるぞ」
「大して飲めないんだよ、俺」
「いいから、さすがに今回は参加しろよ。……ほら、新しく入った例のちっこい子、めちゃくちゃ可愛かったじゃん。あの子も来るって」
萩原は椅子を転がせて近づいて来ると、鼻の下を伸ばした顔を寄せてくる。
だらしないその表情に、俺は呆れた目を向けた。