ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


ドタン! という音に驚いて、俺は勢いよく目を開けた。

天井へ向け、空中でなにかを掴もうとしていた左手を、わけもわからずに下ろす。

徐々にジンジンと背中が痛くなってきて、音の正体が、自分がソファから落ちたときのものだとわかった。

いたた……、と身をよじると、目の前に愛花の寝顔を見つけてぎょっとする。

身を起こすと、なぜか愛花が床に転がって眠っていた。


……あれ?


必死に頭を回転させて、昨夜のことを思い出す。


途切れ途切れではあるけれど、……覚えてる。


引っ叩かれた痛みを思い出して、俺は無意識に頬を撫でた。


酔って帰ってきて、着替えずに、そのままソファで寝たのか……。

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