ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
……ていうか……。
床で気持ちよさそうに寝ている愛花は、俺のTシャツではなく、ピンクのパジャマをしっかりと身につけていた。
——夢かよ……。
俺は前髪をくしゃりとさせて、両手で頭を抱え込んだ。
大きく息を吐き出しながら、その場にうずくまる。
……よかった……。
心の底から安堵した俺だったが、しばらくして、いや、と思い直した。
夢でもだめだろ、あれは。
くしゃくしゃと頭をかき回して、のんきな寝顔を見下ろす。
くそ……。
なんかムカつく。
むぎゅっと愛花の鼻をつまんでやれば、苦しそうに眉間が寄る。
その様子が可愛くて、ふは、と吹き出した。