ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
「……それは、成長が、見たいから……?」
「それもある」
俺の言葉に、愛花が嬉しそうに唇を噛んだ。
じわじわと上気して、髪の毛の根元まで顔を赤らめていく。
手の中にある髪の束を愛花の小さな耳にかけて、その様子を眺めていると、体の内側から、満たされるような感覚がじくじくと流れた。
「……おーちゃん、わたし……」
「ん?」
「わたし……」
そこで、愛花は思い出したように唇を固く結んでしまった。
「どうした?」
「え、えと」