ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


「……あの……気づいたら、お腹、すごい減ってたみたい」


苦しい言い訳を絞り出して、わたしはおーちゃんから離れた。


「早くあっち、帰ろ」


不自然に思われてしまっただろうけれど、……これ以上、お姉ちゃんの部屋にふたりでいることはなんだか憚られた。

さっさと荷物を抱えて、わたしは、おーちゃんの探るような視線を感じながら、部屋を出た。

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