ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
——お姉ちゃんへの後ろめたさを感じるまま、わたしは今も、おーちゃんの家で生活している。
お姉ちゃんのお見舞いにも、また、行きづらくなってしまっていて……。
悪いことをしている子供みたいに、ビクビクとしながら、おーちゃんとの時間を噛みしめるように過ごしていた。
お姉ちゃんの帰りを心待ちにしている気持ちと、まるで矛盾している自分の行動に、毎日嫌気が差す。
自分のことを、どんどん嫌いになっていくばかりで……。
……もう、わかんないよ……。
……お姉ちゃんと……話したい……。
わたしは息苦しさをため息へと変えて、背もたれに頭を預けた。
視界を霞ませる眩しい青空は、わたしの胸の内とは反対に、苛立つほどに夏の勢いに溢れ、晴れ渡っていた。