ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
ガラリ、と、再び勢いよく病室のドアが開かれた。
一斉に振り向くと、息を弾ませたおーちゃんが立っていた。
「……おーちゃん……」
お姉ちゃんが、小さくその名前を呼んだ。
それに引き寄せられるように、こちらへやってきたおーちゃんは、言葉を失った様子でお姉ちゃんを見てから、隣のわたしと顔を見合わせる。
そして、その場にへなへなとしゃがみ込んでしまった。
「……夢じゃ、ないよな」
確認するように訊かれて、わたしは頷いた。
おーちゃんは、何かを堪えるように眉を寄せると、わたしとお姉ちゃんの手をまとめて握りしめた。
「……よかった……」
噛みしめるようなおーちゃんの呟きに、また涙腺が刺激されてしまう。
「ほんとに、よかった」
お姉ちゃんが、キュッと唇を噛み締めるのが目に入った。