ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
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コンコン、とドアをノックすれば、向こう側から「はい」と返事が返ってきた。
どうやら、結花は起きているみたいだった。
昨日の今日だから、こうして反応があることに安堵すると同時に、ジワリと感動が滲む。
病室のドアを開けると、少し身を起こした結花が、俺を見て嬉しそうに微笑んだ。
「あれ、お仕事は?」
「休んだ」
「サボりだ」
「違うよ」
「うそうそ。おーちゃんが真面目なのは、知ってるよ」
結花は読んでいた本をパタリと閉じると、机の上に置いた。