分かってはいるけど、どうしても

「もしかして、またあの夢を見てたの?」


さおりには、一度だけあの炎のことを話したことがある。



夢という名の記憶が、私には時々寝ているときに見える。


「そうだよ。でも、大丈夫」


「良かった。あのさ、どうせならこのままどっか遊びに行かない?」


さおりから突然のお誘い。


驚いたと同時に、さおりとまだ一緒にいれることが嬉しい。



「うん!」


私は元気よく答えた。


相変わらず、夏の空はきれいだ。


その空いっぱいに鳴り響く、セミの鳴き声。


いろんな建物に反射して、ギラギラと輝く太陽。



本当にだるい夏だけど。


まさに、真夏だけど。


ひとりじゃないってことだけで、こんなにも世界に希望が溢れるんだ。


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