桜色に染まる。
主人との出会いは、職場だった。

新人として入社したのは駅前のサロン。
見習いとしてシャンプーマンをしていた時に、お客様として来店されたのが初めての出会い。

お店の方針で、シャンプーも指名ができ、高額なトリートメントをしていく彼は、シャンプーマンの中でも、誰もが指名を勝ち取りたいお客様だった。

そんな彼が、

「シャンプーは、前回の彼女で。」

そう言って指名をしてくれたのは、3回目の来店だった。

「ご指名、ありがとうございました。山本です。本日も、精一杯、シャンプーさせてくださいね。」

内心すごく嬉しかったのと、彼のその……柔らかな笑顔に惹かれた事で、私の頬は緩みっぱなしだ。
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