転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「……いいのか? 本当に……俺はきみを、めちゃくちゃにするぞ」


 直接的な予告に思わず頬を赤くさせるも、結乃は怯えることなく広い背中をポンポンと叩く。


「い……いいです。がんばります……」
「またそうやって、結乃はいつも俺を甘やかす」


 首筋に感じる吐息が熱い。くすぐったく身じろぎしながら、結乃は「ふふっ」と笑みをこぼした。


「甘やかされてるのは、私の方です。ただ、その……もしかしたら気づいていたかもしれないけど、私、こういうことをするのが初めてで……なのでその、お、お手柔らかに、お願いします……?」


 恥ずかしそうな様子でおそるおそる申し出た彼女に、今度は春人の方が口もとを緩める。

 すぐそばにある白い肌に一度軽くキスをしてから、顔を上げた。


「ああ。これ以上ないくらい優しくして、めちゃくちゃのどろどろにしてやる」


 その蠱惑的な笑みに、結乃の鼓動はこれ以上ないくらい高鳴る。


「ど、どろどろって、安心できなさそうです……」
「安心されてても、困るな」


 くっと喉の奥で笑いながら、春人は目を細めて結乃の頬を撫でた。

 つまりは、ドキドキしていろということだろうか。そんなの言われるまでもなく、ずっと心臓は暴れっぱなしなのに。

 相変わらず顔は赤いまま、どこか拗ねたような表情をした結乃が左手を春人の後頭部に回し、軽く引き寄せる。

 逆らうことなく近づいてきた唇を、今度は目を閉じて受け入れた。
< 104 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop