転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
(……うん。やっぱり、間違いなく“あの”ハルトだ)
ラウンジの一角にあるテーブル席。洒落たティーカップに口をつけて熱い紅茶をすすりつつ、結乃はチラと向かい側の人物をうかがっていた。
先ほど出会ったばかりの美丈夫は長い脚を組んで椅子に腰かけ、同じようにコーヒーカップを静かに口に運んでいる。
この人物とは、今日が初対面だった。だというのに結乃は、まったく同じ造りの端整な顔をした男のことをよく知っている。
結乃の抱える“秘密”。それは、今の自分に生まれ変わる前の記憶……いわゆる前世の記憶がある、というものだ。
10歳の誕生日に原因不明の高熱でうなされた結乃は、目が覚めたとき、自分の前世を思い出した。
前世での彼女はユノ・ブランシュという名の女性で、こちらで言えば中世ヨーロッパのような雰囲気のウィズラント王国──おそらくこの地球とは違う異世界で元騎士の父と小さな食堂を営む母を持ち、王宮付き看護師として働いていた。
そして24歳のとき、隣国との戦争に医療者として従軍し、戦地での救護活動のさなか命を落としたのだ。
(まさかハルトと……しかもこんな状況で、また会うことになるなんて)
前世の知り合いと今世で再会するのは初めてだ。考えながら深いため息が漏れ出そうになるのを、なんとか堪えた。
ラウンジの一角にあるテーブル席。洒落たティーカップに口をつけて熱い紅茶をすすりつつ、結乃はチラと向かい側の人物をうかがっていた。
先ほど出会ったばかりの美丈夫は長い脚を組んで椅子に腰かけ、同じようにコーヒーカップを静かに口に運んでいる。
この人物とは、今日が初対面だった。だというのに結乃は、まったく同じ造りの端整な顔をした男のことをよく知っている。
結乃の抱える“秘密”。それは、今の自分に生まれ変わる前の記憶……いわゆる前世の記憶がある、というものだ。
10歳の誕生日に原因不明の高熱でうなされた結乃は、目が覚めたとき、自分の前世を思い出した。
前世での彼女はユノ・ブランシュという名の女性で、こちらで言えば中世ヨーロッパのような雰囲気のウィズラント王国──おそらくこの地球とは違う異世界で元騎士の父と小さな食堂を営む母を持ち、王宮付き看護師として働いていた。
そして24歳のとき、隣国との戦争に医療者として従軍し、戦地での救護活動のさなか命を落としたのだ。
(まさかハルトと……しかもこんな状況で、また会うことになるなんて)
前世の知り合いと今世で再会するのは初めてだ。考えながら深いため息が漏れ出そうになるのを、なんとか堪えた。