転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「……貴女は当然、知らないことだったな。そうだな、何から話せばいいのか……」
束の間考える素振りを見せたあと、仁は話し始める。
「先に言っておくと、あの戦いで命を落としたわけではない。けれど、お世辞にも長生きしたとは言えないな。戦争自体は貴女が巻き込まれたギデルの襲撃から1ヶ月ほどで、ウィズラントの勝利という形で終わりを迎えたが……ラノワールが死んだのは、それから約2年後のことだ」
告げられた言葉に、息を呑んで硬直した。
まさか……あれから、たったの2年後?
想像よりもずっと早くにハルトが亡くなっていたことを知って、ショックを隠せない。
見るからに動揺している結乃に、仁は淡々と続けた。
「ウィズラントの戦勝に関して、ラノワールの功績は大きかった。終戦後陛下からあらゆる褒賞が賜られることになっていたのに、ラノワールはそれを一切放棄して、騎士団すら辞めてしまった」
「騎士団、を?」
「ああ。それからは日雇いの用心棒のようなことをしながら国内外を転々と旅していたようだが、その途中で命を落としたらしい」
ふぅとひとつ息をついて、目を伏せる。
「当時は──王国内の国境近くで、雇い主である商人が扱う馬車に乗り合わせていた。その馬車が商売先の街の手前にある森を通りかかったとき、盗賊に襲撃されたんだ。複数の敵を相手にして戦ったラノワールは乗っていた人間と商品は守り抜いたものの、致命傷になる深手を負って死んでしまった」
束の間考える素振りを見せたあと、仁は話し始める。
「先に言っておくと、あの戦いで命を落としたわけではない。けれど、お世辞にも長生きしたとは言えないな。戦争自体は貴女が巻き込まれたギデルの襲撃から1ヶ月ほどで、ウィズラントの勝利という形で終わりを迎えたが……ラノワールが死んだのは、それから約2年後のことだ」
告げられた言葉に、息を呑んで硬直した。
まさか……あれから、たったの2年後?
想像よりもずっと早くにハルトが亡くなっていたことを知って、ショックを隠せない。
見るからに動揺している結乃に、仁は淡々と続けた。
「ウィズラントの戦勝に関して、ラノワールの功績は大きかった。終戦後陛下からあらゆる褒賞が賜られることになっていたのに、ラノワールはそれを一切放棄して、騎士団すら辞めてしまった」
「騎士団、を?」
「ああ。それからは日雇いの用心棒のようなことをしながら国内外を転々と旅していたようだが、その途中で命を落としたらしい」
ふぅとひとつ息をついて、目を伏せる。
「当時は──王国内の国境近くで、雇い主である商人が扱う馬車に乗り合わせていた。その馬車が商売先の街の手前にある森を通りかかったとき、盗賊に襲撃されたんだ。複数の敵を相手にして戦ったラノワールは乗っていた人間と商品は守り抜いたものの、致命傷になる深手を負って死んでしまった」