転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「あっ、もしもし警察ですか?! 今近くで、男性ふたり組が女性に乱暴なことをしていて……っ!」
これはフリだ。だがそれと知らない相手は、さすがに警察を呼ばれるのはまずいと思ったらしい。結乃の声に気づいた男たちは、不意を突かれたように目を剥く。
女性の腕を掴んでいた男が慌てて手を離した。そそくさとこの場を離れようとした男たちのひとりと肩がぶつかり、衝撃で結乃は尻もちをつく。
接触した本人はチラリともこちらを気にすることなく、そのまま去って行ってしまった。
「大丈夫?」
ちょっとハスキーな色っぽい声が聞こえ、顔を上げる。
先ほどの女性が、目の前で結乃に向かって片手を差し伸べていた。その美しさに、結乃はこんな状況なのも忘れて見蕩れてしまう。
外国の血が入っていると思われる、日本人離れした彫りの深い顔立ちだ。色素の薄いアーモンド型の大きな目を、長くて濃いまつ毛が縁どっている。
すっと通った鼻梁に、ベージュ系のリップが引かれた形のいい唇。軽く首を傾けると、大ぶりのピアスがシャラリと揺れた。
「えーっと、本当に平気?」
「あ! すみません、大丈夫です……!」
2度目にかけられた声でようやくハッとし、とっさに目の前の手を掴む。
10センチ近いピンヒールのパンプスを履いているというのに、彼女は危なげなく結乃の腕を引いてくれた。
「すみません、ありがとうございます」
「それはこっちのセリフだわ。助けてくれてありがとう」
極上の美人に目の前でニッコリ微笑まれ、結乃はトートバッグを肩にかけ直しつつまたぽーっとしてしまう。
これはフリだ。だがそれと知らない相手は、さすがに警察を呼ばれるのはまずいと思ったらしい。結乃の声に気づいた男たちは、不意を突かれたように目を剥く。
女性の腕を掴んでいた男が慌てて手を離した。そそくさとこの場を離れようとした男たちのひとりと肩がぶつかり、衝撃で結乃は尻もちをつく。
接触した本人はチラリともこちらを気にすることなく、そのまま去って行ってしまった。
「大丈夫?」
ちょっとハスキーな色っぽい声が聞こえ、顔を上げる。
先ほどの女性が、目の前で結乃に向かって片手を差し伸べていた。その美しさに、結乃はこんな状況なのも忘れて見蕩れてしまう。
外国の血が入っていると思われる、日本人離れした彫りの深い顔立ちだ。色素の薄いアーモンド型の大きな目を、長くて濃いまつ毛が縁どっている。
すっと通った鼻梁に、ベージュ系のリップが引かれた形のいい唇。軽く首を傾けると、大ぶりのピアスがシャラリと揺れた。
「えーっと、本当に平気?」
「あ! すみません、大丈夫です……!」
2度目にかけられた声でようやくハッとし、とっさに目の前の手を掴む。
10センチ近いピンヒールのパンプスを履いているというのに、彼女は危なげなく結乃の腕を引いてくれた。
「すみません、ありがとうございます」
「それはこっちのセリフだわ。助けてくれてありがとう」
極上の美人に目の前でニッコリ微笑まれ、結乃はトートバッグを肩にかけ直しつつまたぽーっとしてしまう。