転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
もちろんその感情は、最初からあった。大事な幼なじみだったハルトの生まれ変わりである『黒須春人』という人間を、好ましく思っていた。
だけど、今自覚した想いはもっと強く、大きな気持ちだ。もはや誤魔化すことはできない。結乃は春人に、恋をしている。
こんなに特別だったのは、いつからだろう。きっとずっとそうだったのに、気づこうとしなかった。
だって──彼は、“そう”じゃないから。
(春人さんは、私みたいな気持ちを持ってるわけじゃない……ただ利害が一致したから、選んでくれただけ)
それに加え、なぜ春人があんなにも結乃を望んでくれたのか。
その理由はおそらく、先日彼の友人が話してくれた前世の話が関係しているのだ。
『たとえ記憶がなくとも……魂で、貴女を欲したんだろうな』
春人の目に自分が留まったのは、彼の中の『ハルト』がそうさせたにすぎない。
『春人さん』は、それに従わされただけ。さっきまでの濃密な睦み合いのように、強く求めてくれるのだって──たぶん、きっと。
「……春人さん」
彼の胸に添えていた両手を持ち上げ、無駄な肉のない頬を挟む。
そのまま結乃は、自ら顔を寄せて春人に深く口づけた。
「……ッ、」
こんなふうに、結乃の方からキスを仕掛けてくることはあまりない。目を細めた春人はぐう、と喉の奥で唸ると、結乃に負けじと激しく舌を絡めた。
「っん、は、る……っ」
そうやってぐちゃぐちゃなキスを続ける春人の大きな手のひらが結乃の背中を下から上へとなぞり、結乃はビクリと身体を震わせる。
唇を離した春人が、身体をまさぐるのとは反対の手で彼女の頬を包む。
「本当に、結乃は……俺を煽るのが、上手だ」
まっすぐに自分を見つめるその瞳に再び情欲が宿っていることを理解しながら、それでも結乃は、止めようとは思わなかった。
自ら春人の首もとに手を伸ばすと、身につけるものが何もない素肌を押しつけるように身体を密着させる。
「……あったかい」
ポツリとつぶやいた結乃の耳に唇をつけ、春人もまた吐息混じりにささやいた。
「寒いなら、今からもっと、熱くさせてやる」
さっきまでの行為の余韻でまだまだ身体は火照っているし、5月とはいえ今夜は気温が高い。
けれど結乃は、春人の言葉を否定したりしなかった。
ただ彼にしがみつく腕に、ぎゅっと力を込めただけ。
それでも結乃の答えを正しく理解した春人は、口角を上げて彼女のこめかみに口づけを落とした。
ふたりを包む空気が、また甘く濃密なものへと変わっていく。本格的に再開した春人の愛撫を受け入れ、結乃は快感に身体を震わせながらシーツを掴んだ。
気持ちいい。苦しい。気持ちいい。切ない。気持ちいい。
大好きなひとが、こんなにも近くにいて、自分を抱きしめてくれているのに──結乃の心はまるで抜けない棘が刺さっているかのように、ズキズキと痛んでいた。
だけど、今自覚した想いはもっと強く、大きな気持ちだ。もはや誤魔化すことはできない。結乃は春人に、恋をしている。
こんなに特別だったのは、いつからだろう。きっとずっとそうだったのに、気づこうとしなかった。
だって──彼は、“そう”じゃないから。
(春人さんは、私みたいな気持ちを持ってるわけじゃない……ただ利害が一致したから、選んでくれただけ)
それに加え、なぜ春人があんなにも結乃を望んでくれたのか。
その理由はおそらく、先日彼の友人が話してくれた前世の話が関係しているのだ。
『たとえ記憶がなくとも……魂で、貴女を欲したんだろうな』
春人の目に自分が留まったのは、彼の中の『ハルト』がそうさせたにすぎない。
『春人さん』は、それに従わされただけ。さっきまでの濃密な睦み合いのように、強く求めてくれるのだって──たぶん、きっと。
「……春人さん」
彼の胸に添えていた両手を持ち上げ、無駄な肉のない頬を挟む。
そのまま結乃は、自ら顔を寄せて春人に深く口づけた。
「……ッ、」
こんなふうに、結乃の方からキスを仕掛けてくることはあまりない。目を細めた春人はぐう、と喉の奥で唸ると、結乃に負けじと激しく舌を絡めた。
「っん、は、る……っ」
そうやってぐちゃぐちゃなキスを続ける春人の大きな手のひらが結乃の背中を下から上へとなぞり、結乃はビクリと身体を震わせる。
唇を離した春人が、身体をまさぐるのとは反対の手で彼女の頬を包む。
「本当に、結乃は……俺を煽るのが、上手だ」
まっすぐに自分を見つめるその瞳に再び情欲が宿っていることを理解しながら、それでも結乃は、止めようとは思わなかった。
自ら春人の首もとに手を伸ばすと、身につけるものが何もない素肌を押しつけるように身体を密着させる。
「……あったかい」
ポツリとつぶやいた結乃の耳に唇をつけ、春人もまた吐息混じりにささやいた。
「寒いなら、今からもっと、熱くさせてやる」
さっきまでの行為の余韻でまだまだ身体は火照っているし、5月とはいえ今夜は気温が高い。
けれど結乃は、春人の言葉を否定したりしなかった。
ただ彼にしがみつく腕に、ぎゅっと力を込めただけ。
それでも結乃の答えを正しく理解した春人は、口角を上げて彼女のこめかみに口づけを落とした。
ふたりを包む空気が、また甘く濃密なものへと変わっていく。本格的に再開した春人の愛撫を受け入れ、結乃は快感に身体を震わせながらシーツを掴んだ。
気持ちいい。苦しい。気持ちいい。切ない。気持ちいい。
大好きなひとが、こんなにも近くにいて、自分を抱きしめてくれているのに──結乃の心はまるで抜けない棘が刺さっているかのように、ズキズキと痛んでいた。