転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「お互い、強引に連れて来られた者同士なんですね。正直私も、こういった機会は初めてでよくわからなくて。だからよければ、一緒に考えませんか? 変にさぐり合ってお互い疲れちゃうより、きっとその方が楽しい時間にできると思うんです」
笑みを浮かべた結乃の提案を、春人は静かに彼女を見つめながら聞いていた。
そして、コクリとうなずく。
「ああ。俺も、その意見に賛成だ」
そう言った春人の顔は、僅かに微笑んでいるように見えた。結乃はホッと、胸を撫で下ろす。
「よかった。ええっとまずは、自己紹介から……でしょうか」
「それが無難だろうな。ある程度母に話されてしまったが、では俺から」
ソーサーにカップを置き、改めて春人が結乃と視線を合わせる。
「黒須春人だ。歳は先月で33歳になった。IT関連企業で副社長をしている」
前世ではその冷然とした美貌から王宮で働く女性たちに『氷の騎士様』などと陰できゃあきゃあされていた幼なじみが、まさか今世で副社長になっているとは……しかもIT企業。あれほどの剣術馬鹿が、違和感しかない。
脳内では失礼なことを考えつつ、結乃は自分の番だと姿勢を正した。
「私は白川結乃です。小学校の養護教諭をしていて、4月で29歳になります」
「養護教諭……保健室の先生か。立派な職業だ」
「いえそんな、副社長こそ立派じゃないですか」
「どうも。巻き込まれただけのつもりが、気づいたら10年経ってたな」
しみじみとした口ぶりの春人に、自然と結乃は言葉を重ねる。
笑みを浮かべた結乃の提案を、春人は静かに彼女を見つめながら聞いていた。
そして、コクリとうなずく。
「ああ。俺も、その意見に賛成だ」
そう言った春人の顔は、僅かに微笑んでいるように見えた。結乃はホッと、胸を撫で下ろす。
「よかった。ええっとまずは、自己紹介から……でしょうか」
「それが無難だろうな。ある程度母に話されてしまったが、では俺から」
ソーサーにカップを置き、改めて春人が結乃と視線を合わせる。
「黒須春人だ。歳は先月で33歳になった。IT関連企業で副社長をしている」
前世ではその冷然とした美貌から王宮で働く女性たちに『氷の騎士様』などと陰できゃあきゃあされていた幼なじみが、まさか今世で副社長になっているとは……しかもIT企業。あれほどの剣術馬鹿が、違和感しかない。
脳内では失礼なことを考えつつ、結乃は自分の番だと姿勢を正した。
「私は白川結乃です。小学校の養護教諭をしていて、4月で29歳になります」
「養護教諭……保健室の先生か。立派な職業だ」
「いえそんな、副社長こそ立派じゃないですか」
「どうも。巻き込まれただけのつもりが、気づいたら10年経ってたな」
しみじみとした口ぶりの春人に、自然と結乃は言葉を重ねる。