転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「はいはーい、じゃあこのあと二次会行ける人〜!」
たっぷり2時間以上満喫した居酒屋を出るなり、今回の飲み会メンバーの中でも年嵩の男性教師が機嫌良く声を張り上げる。
比較的若い年代で構成された今回の飲み会は、大いに盛り上がった。どうやら、ほとんどの同僚たちは二次会にも参加するらしい。
出欠をとる彼よりもあとから店を出た結乃は、そのセリフを耳にしてチラリとスマホのディスプレイを確認した。
時刻は20時半を過ぎた頃で、春人からの連絡は来ていない。仕事が終わって帰宅するときにはいつもメッセージをくれる彼だから、今回もそうするはずだ。
(春人さんも、まだ帰ってないのかあ……)
手にしたスマホはとっくにバックライトが消えているが、真っ暗なその画面を無意識にじっと見つめていた。
すると不意に、右肩を軽く叩かれて顔を上げる。
「黒須先生も、よかったら二次会どう?」
「清水先生……」
振り向いた先にいた人物の言葉に、少し考えて。
「すみません。今日は私、これで失礼しますね」
「あ、そうなんだ……帰り、電車? それともタクシー?」
「ちょっと酔い醒ましに歩きたいので、電車にします」
当たり障りのない笑みでやんわりと誘いを断る結乃はそれなりに酔っており、どことなく落胆した清水の様子にもまったく気づかない。たとえ素面だとしても、自分に向けられる好意に疎い彼女がこの場合の機微を感じ取る可能性は低いが。
そうして他の同僚たちにも声をかけると、結乃は駅を目指すべく輪を抜けた。
たっぷり2時間以上満喫した居酒屋を出るなり、今回の飲み会メンバーの中でも年嵩の男性教師が機嫌良く声を張り上げる。
比較的若い年代で構成された今回の飲み会は、大いに盛り上がった。どうやら、ほとんどの同僚たちは二次会にも参加するらしい。
出欠をとる彼よりもあとから店を出た結乃は、そのセリフを耳にしてチラリとスマホのディスプレイを確認した。
時刻は20時半を過ぎた頃で、春人からの連絡は来ていない。仕事が終わって帰宅するときにはいつもメッセージをくれる彼だから、今回もそうするはずだ。
(春人さんも、まだ帰ってないのかあ……)
手にしたスマホはとっくにバックライトが消えているが、真っ暗なその画面を無意識にじっと見つめていた。
すると不意に、右肩を軽く叩かれて顔を上げる。
「黒須先生も、よかったら二次会どう?」
「清水先生……」
振り向いた先にいた人物の言葉に、少し考えて。
「すみません。今日は私、これで失礼しますね」
「あ、そうなんだ……帰り、電車? それともタクシー?」
「ちょっと酔い醒ましに歩きたいので、電車にします」
当たり障りのない笑みでやんわりと誘いを断る結乃はそれなりに酔っており、どことなく落胆した清水の様子にもまったく気づかない。たとえ素面だとしても、自分に向けられる好意に疎い彼女がこの場合の機微を感じ取る可能性は低いが。
そうして他の同僚たちにも声をかけると、結乃は駅を目指すべく輪を抜けた。