転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「ちょっと、春人聞いてるの?」
バチン、と唐突に映像が途切れ、春人は我に返る。
座敷席のテーブルを挟んだあちら側から身を乗り出すようにして、レイラがじっとりと拗ねた眼差しを自分に向けていた。
無言で放心している春人の様子に、レイラはますます唇を尖らせる。
「信じられない、1対1で話してる最中だっていうのに普通寝る? 相変わらずアルコールは強くないみたいね」
「……ああ、すまない」
ようやくそれだけ返し、眉間を揉む。
そうか、自分は居眠りをしてしまっていたのか。
起きた瞬間に忘れてしまったが、何か夢までみていたような気がする。個室とはいえ酒を飲みながらテーブルに頬杖をついて眠るなんて、いくらなんでも気を抜きすぎだ。
「それとも、よっぽど仁に扱き使われてるのかしら。過労死する前に不服を申し立てた方がいいんじゃない?」
「扱き使ってるのは俺もだから、お互いさまだ」
「あらそう」
淡々と返せば、相手もあっさりと言ってリップの引かれた艶のある唇で笑みを形作る。
変わらないな、と思った。何年かぶりに会った笑顔は、相変わらず寸分の隙のない完璧な造形で彼女の美しさを引き立てる。
その笑顔に、客観的事実である『美しい』以外の感想を抱くことは、ついぞなかったが。
「……仁は、まだ戻らないのか」
ちら、と個室の引き戸に視線を向けながら言えば、レイラはまったく興味なさげにチーズフライなるものを口に放り込んだ。
バチン、と唐突に映像が途切れ、春人は我に返る。
座敷席のテーブルを挟んだあちら側から身を乗り出すようにして、レイラがじっとりと拗ねた眼差しを自分に向けていた。
無言で放心している春人の様子に、レイラはますます唇を尖らせる。
「信じられない、1対1で話してる最中だっていうのに普通寝る? 相変わらずアルコールは強くないみたいね」
「……ああ、すまない」
ようやくそれだけ返し、眉間を揉む。
そうか、自分は居眠りをしてしまっていたのか。
起きた瞬間に忘れてしまったが、何か夢までみていたような気がする。個室とはいえ酒を飲みながらテーブルに頬杖をついて眠るなんて、いくらなんでも気を抜きすぎだ。
「それとも、よっぽど仁に扱き使われてるのかしら。過労死する前に不服を申し立てた方がいいんじゃない?」
「扱き使ってるのは俺もだから、お互いさまだ」
「あらそう」
淡々と返せば、相手もあっさりと言ってリップの引かれた艶のある唇で笑みを形作る。
変わらないな、と思った。何年かぶりに会った笑顔は、相変わらず寸分の隙のない完璧な造形で彼女の美しさを引き立てる。
その笑顔に、客観的事実である『美しい』以外の感想を抱くことは、ついぞなかったが。
「……仁は、まだ戻らないのか」
ちら、と個室の引き戸に視線を向けながら言えば、レイラはまったく興味なさげにチーズフライなるものを口に放り込んだ。