転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「まだ大学生だった頃、ご友人と起業されたんですよね」
「ああ。その悪友がCEOだ」
わざわざ『友人』の部分を言い換えるとは、よっぽどその相手に振り回されてきたのだろうか。考えた結乃は、つい噴き出す。
すると今度は、春人がじっと力強い眼差しで結乃を見据えた。
「そちらは、なぜ養護教諭に?」
きっと、彼の性格を知らない者からすれば、まるで尋問でもされているような心地になっただろう。
けれども結乃は、春人のこの目が相手ときちんと向き合おうとしている気持ちの現れだと知っているし、端的で抑揚のない口調も単純に個性と捉えて気にならない。
だから彼女は臆することなく、むしろどこか楽しげな様子で答えた。
「子どもが好きだったのと、誰かを癒す手助けをする……医療に携わる仕事が、したくて」
後者は前世の記憶がよみがえってから、ずっと胸に抱き続けてきた願いだ。
……けれども。
「本当は私、元々は看護師になりたいと思っていたんです。だけど、血が……ある程度までならともかく、たくさんの血を見るのが、どうしても苦手で」
「ああ。その悪友がCEOだ」
わざわざ『友人』の部分を言い換えるとは、よっぽどその相手に振り回されてきたのだろうか。考えた結乃は、つい噴き出す。
すると今度は、春人がじっと力強い眼差しで結乃を見据えた。
「そちらは、なぜ養護教諭に?」
きっと、彼の性格を知らない者からすれば、まるで尋問でもされているような心地になっただろう。
けれども結乃は、春人のこの目が相手ときちんと向き合おうとしている気持ちの現れだと知っているし、端的で抑揚のない口調も単純に個性と捉えて気にならない。
だから彼女は臆することなく、むしろどこか楽しげな様子で答えた。
「子どもが好きだったのと、誰かを癒す手助けをする……医療に携わる仕事が、したくて」
後者は前世の記憶がよみがえってから、ずっと胸に抱き続けてきた願いだ。
……けれども。
「本当は私、元々は看護師になりたいと思っていたんです。だけど、血が……ある程度までならともかく、たくさんの血を見るのが、どうしても苦手で」