転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「意味がわからない。なぜ、結乃がそうなる」
「だってこのコのこと、どうせ愛してなんかないんでしょ? 結婚なんて、あなたのガラじゃない。そんなことしなくたって家事はハウスキーパーに任せればいいし、女を抱きたいならこれからは私が──」
「ありえない」
強い口調で言葉を遮られたことで、今度はわかりやすくレイラが怯んだ。
春人はため息をつき、静かに続ける。
「レイラ。昔の俺はおまえの我儘にも反論することなく従ってただろうが、今は違う。もう10年だ。いろんなことが変わってもおかしくないだろ」
「な……」
「おまえの中の俺がどんな男かなんて、聞きたくはないし興味もない。自分の価値観を疑いもせずヒトに押しつけるな」
淡々とした口調ながら厳しく投げかけられたレイラは、目を丸くして言葉を失っている。
そして結乃も、驚いた表情で春人のことを見つめた。
「さっき店でも、訊ねてきたな。まだ直接本人にも伝えられていないのにあの場で話すのも結乃に不誠実な気がして、すぐに答えられなかったが──」
そこでいっそう、結乃を抱き寄せる春人の手の力が強くなる。
「俺は、結乃を愛している。おまえの勝手な思い込みで、これ以上妻を傷つけるのはやめてくれ」
迷いのないその眼差しと言葉に、息を呑んだ。
結乃と同じく呆然としていたレイラだったが、ハッと我に返って春人へと手を伸ばそうとする。
「な……何を、言ってるの。らしくないわ、ほんとに……ねぇ春人、とにかく、そんなコからもう離れて──」
「いい加減に、してください」
必死な様子で言い募っていたレイラの声を、今度は結乃が遮った。
自分を見つめる春人の視線を感じながら、結乃はまっすぐに顔を上げて強くレイラを見返す。
「だってこのコのこと、どうせ愛してなんかないんでしょ? 結婚なんて、あなたのガラじゃない。そんなことしなくたって家事はハウスキーパーに任せればいいし、女を抱きたいならこれからは私が──」
「ありえない」
強い口調で言葉を遮られたことで、今度はわかりやすくレイラが怯んだ。
春人はため息をつき、静かに続ける。
「レイラ。昔の俺はおまえの我儘にも反論することなく従ってただろうが、今は違う。もう10年だ。いろんなことが変わってもおかしくないだろ」
「な……」
「おまえの中の俺がどんな男かなんて、聞きたくはないし興味もない。自分の価値観を疑いもせずヒトに押しつけるな」
淡々とした口調ながら厳しく投げかけられたレイラは、目を丸くして言葉を失っている。
そして結乃も、驚いた表情で春人のことを見つめた。
「さっき店でも、訊ねてきたな。まだ直接本人にも伝えられていないのにあの場で話すのも結乃に不誠実な気がして、すぐに答えられなかったが──」
そこでいっそう、結乃を抱き寄せる春人の手の力が強くなる。
「俺は、結乃を愛している。おまえの勝手な思い込みで、これ以上妻を傷つけるのはやめてくれ」
迷いのないその眼差しと言葉に、息を呑んだ。
結乃と同じく呆然としていたレイラだったが、ハッと我に返って春人へと手を伸ばそうとする。
「な……何を、言ってるの。らしくないわ、ほんとに……ねぇ春人、とにかく、そんなコからもう離れて──」
「いい加減に、してください」
必死な様子で言い募っていたレイラの声を、今度は結乃が遮った。
自分を見つめる春人の視線を感じながら、結乃はまっすぐに顔を上げて強くレイラを見返す。