転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
……自分と出会ってしまったせいで、春人は本当に好きなひとと、結ばれることができなくなったのかもしれないと思った。
彼の優しい眼差しは、自分ではなく“ユノ・ブランシュ”だけに向けられているのだと言い聞かせていた。
平凡な自分は、彼にふさわしくないのではと思っていた。
──……それが、なんだ。
今、春人は目の前にいる完璧な女性ではなく、自分のことを選んでくれた。
『愛してる』と、言葉にしてくれた。
それだけでいい。たとえ“結乃”ではなく、“ユノ”に向けられた感情なのだとしても……結乃にはどうしようもなくうれしくて、そのうれしさは勇気へと変わった。
(“ユノ”も、私だ……)
ならばどこまでも、図々しくなろう。
図々しく、その言葉は自分のものだと、胸を張ろう。
「赤坂さん。春人さんの知り合いとのことなので強く言えませんでしたが、ハッキリ言って迷惑です。あなたが今していることは、ほとんどストーカーと代わりないですよ」
「な……っす、ストーカーですって!?」
「だって、自分が一方的に好意を寄せている既婚者のひとの家を訪ねて『別れろ』とか『自分のモノだ』とか……今回は本当に、警察に通報してもいいんですよ?」
結乃のセリフに、ざっとレイラが顔を青くする。
まさか初めて会ったときに助けられた『警察』という単語に、今度は自分が追い詰められるとは思わなかっただろう。仕上げとばかりに、結乃は不安でいっぱいの本心を隠し、ニッコリあくまで強気な笑顔をみせた。
「あなたの言葉には惑わされません。春人さんは──私の、夫です」
今度こそ、レイラは悔しそうに唇を噛んで押し黙る。
そのタイミングで玄関の方から物音がした。慌てた様子で家を上がってきた誰かは、バタバタと足音をたててリビングへとやってくる。
彼の優しい眼差しは、自分ではなく“ユノ・ブランシュ”だけに向けられているのだと言い聞かせていた。
平凡な自分は、彼にふさわしくないのではと思っていた。
──……それが、なんだ。
今、春人は目の前にいる完璧な女性ではなく、自分のことを選んでくれた。
『愛してる』と、言葉にしてくれた。
それだけでいい。たとえ“結乃”ではなく、“ユノ”に向けられた感情なのだとしても……結乃にはどうしようもなくうれしくて、そのうれしさは勇気へと変わった。
(“ユノ”も、私だ……)
ならばどこまでも、図々しくなろう。
図々しく、その言葉は自分のものだと、胸を張ろう。
「赤坂さん。春人さんの知り合いとのことなので強く言えませんでしたが、ハッキリ言って迷惑です。あなたが今していることは、ほとんどストーカーと代わりないですよ」
「な……っす、ストーカーですって!?」
「だって、自分が一方的に好意を寄せている既婚者のひとの家を訪ねて『別れろ』とか『自分のモノだ』とか……今回は本当に、警察に通報してもいいんですよ?」
結乃のセリフに、ざっとレイラが顔を青くする。
まさか初めて会ったときに助けられた『警察』という単語に、今度は自分が追い詰められるとは思わなかっただろう。仕上げとばかりに、結乃は不安でいっぱいの本心を隠し、ニッコリあくまで強気な笑顔をみせた。
「あなたの言葉には惑わされません。春人さんは──私の、夫です」
今度こそ、レイラは悔しそうに唇を噛んで押し黙る。
そのタイミングで玄関の方から物音がした。慌てた様子で家を上がってきた誰かは、バタバタと足音をたててリビングへとやってくる。